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- 各種検査法のご案内
聴力検査-きこえの検査-
<検査の概要>
きこえの程度を調べる検査です。健康診断や人間ドックでは、1,000ヘルツと4,000ヘルツの2つの周波数のみ検査しますが、「標準純音聴力検査」では、125ヘルツから8,000ヘルツまで、7つの周波数について検査します。周波数ごとに、どの位の大きさの音なら聞こえるか(閾値-いきち-)を調べる検査です。おおよそ4歳ぐらいから検査が可能です。3歳以下では、特殊な検査が必要なため、自治医科大学(とちぎ子ども医療センター:小児耳鼻咽喉科)を紹介します。
<検査の実際>
- 聴力検査室に入り、レシーバーを両耳に装着し、スイッチをお持ちください。聞き取りやすい方の耳から先に検査します。
- ピッピッピッという断続音が聞こえたら、スイッチを押してください。音が聞こえなくなったら、指を離してください。
- 初めに少し大きな音が出ます。次に、小さな音からだんだん音を大きくしていきますので、音が聞こえたら、スイッチを押してください。
- 7つの周波数について検査します。初めは、ピッピッという音、次にだんだん高音のキンキンという音に、その後は、低音のボッボッという音が聞こえてきます。
ティンパノメトリー-鼓膜の動きの検査-
<検査の概要>
鼻かぜや鼻アレルギーのために、鼻水や鼻づまりがあると、鼻と耳をつなぐ耳管(じかん)の通りが悪くなり(耳管狭窄)、鼓膜が陥没したり、中耳に滲出液が貯留(滲出性中耳炎)したりします。ティンパノメトリーは、鼓膜の動きやすさを調べ、中耳の陰圧の程度や中耳貯留液の有無を調べる検査法です。じっとしていられれば、2歳からでも検査は可能です。
<検査の実際>
- 耳の入り口に、耳栓のような形をした「プローブ」をあてると、「ボー」という音が聞こえます。
- 耳を密閉するようにプローブを押し当てると、耳の中の圧が上がり、少し押される感じがします。この時、頭を動かしたり、しゃべったりしないようにしてください。
- じっとしていれば、片耳20秒ほどで終了します。
- 波形がモニター画面に写し出され、結果をプリントアウトします。
レントゲン検査-主に副鼻腔炎の検査-
<検査の概要>
耳鼻咽喉科でレントゲンを撮る場合、多くは副鼻腔炎(いわゆるちくのう症)があるかどうかを調べるためです。鼻の周囲にある副鼻腔という空洞は、直接観察することはできないため、レントゲンを撮って、影があるか調べます。この他、アデノイドの大きさをみるために、レントゲンを撮ることもあります。じっとしていられれば、4歳位から検査は可能です。妊娠している方、またはその可能性のある方は、あらかじめお申し出ください。
<検査の実際>
- レントゲン検査室に入り、いすに座ります。小さなお子様は、立ったまま検査します。
- 鼻のX線撮影では、まず鼻の先端を撮影台に軽くつけるようにして、レントゲンを撮ります。フィルムを交換した後、あごを撮影台に乗せ、頭を少し前に傾けた状態で、もう1枚撮影します。こちらで合図するまで、絶対に頭を動かさないでください。
- 現像ができるまで、待合室でお待ちください。現像までの時間は、3~4分です。
フレンツェル赤外線眼鏡による眼振検査-めまいの検査-
<検査の概要>
耳からくるめまいの場合、内耳に障害が起こると、「眼振」という眼球の異常な動きが出現します。特にめまいが特定の頭の位置によって起きたり、頭を急に動かした瞬間に起きたりする場合は、内耳性のめまいが疑われます。この検査は、赤外線を用いて、暗い状態でも眼の動きをモニター画面に写し出し、眼振の有無を観察するものです。頸椎に異常のある方は、無理には行いませんので、あらかじめお申し出ください。
<検査の実際>
- ベッドにあお向けに横になり、「フレンツェル赤外線眼鏡」を装着します。暗くなりますが、目を大きく見開き、できるだけまばたきを我慢して、まっすぐ前方を見るようにしてください。
- 眼を動かして、頭のてっぺん、足元、右、左を順次見るようにします。
- 頭を右下に、次いで左下にします。
- 頭がベッドから出るように体を移動し、頭を少し下げた状態にします。次いで、この体位で頭を右向きに、20秒ほどで左向きへと頭の位置を変えます。
- 頭が少し下がった状態から、急に起き上がります。次にその逆に、再び頭の少し下がった体位まで急に頭を動かします。
- 頭の位置や動かし方によっては、めまいが起こることがあります。その時の「眼振」の有無が診断につながりますので、目をつぶらずに、がんばって見開いていてください。
内視鏡検査-みみ、はな、のどのファイバースコープによる検査-
<検査の概要>
耳鼻咽喉科の疾患では、まず耳・鼻・のどの局所所見をとる「視診」が、診断の第一歩となります。鼻やのどの奥は、鏡を使って見ますが、のどの反射が強いと検査が難しく、よく見える方でもどうしても「死角」になる部分があります。そのため、ファイバースコープを用いて、鼻からのどにかけてよく観察し、病変のチェックや、異物の摘出を行います。
<検査の実際>
- 鼻の中を鼻鏡で観察し、左右どちらかの広いほうの鼻に、麻酔のスプレーをします。
- 表面麻酔がきいてきたところで、ファイバースコープを挿入し、鼻の奥からのどにかけて、よく観察します。
- 痛みは少ないですが、つらければ無理には行いません。
- 異物の摘出の必要があれば、処置用ファイバースコープに切り替えて、摘出します。
- 内視鏡検査後は、のどにも少し麻酔がかかっていますので、すぐに飲食すると、誤嚥(ごえん)して気管にものが入ってしまうことがあります。30分位おいて、水を少量飲んでみて、むせなければ食事をとっていただいて結構です。
重心動揺検査―めまい・ふらつき・平衡障害の検査
<検査の概要>
ひとは、体のバランスに気を配ることなく、安定に立ち、円滑に歩くことができます。これは、体には無意識のうちに、身体の安定を保つ仕組み、平衡(バランス)機能があるからです。
重心動揺検査は、直立姿勢に現れる身体の揺れを記録・解析して、体の平衡(バランス)機能を検査するものです。
重心動揺検査では、平衡維持に関与する内耳系、中枢神経系、脊髄反射系の機能検査をするとともに、これらの障害部位の原因の早期発見を目的としています。
<検査の実際>
- 重心動揺計の検査台に、靴を脱ぎ両足を揃えて立ってもらいます。両手は下げ、体の側面に軽くつけていてください。
- 前方の指標を見つめながら、60秒間直立した状態で検査します。
- 次に、同じ姿勢で、目を閉じた状態で、60秒間直立し検査します。検査中は、ふらついても倒れないように、スタッフが横についてサポートいたします。
- スポンジのような「ラバ-」を、検査台の上に敷きます。
- 今度は、かかとは揃えますが、足先は少し左右に開いて立っていただきます。前方の指標を見つめながら、60秒間直立した状態で検査します。
- 次いで、目を閉じた状態で、60秒間直立し検査します。検査中は、ふらついても倒れないように、スタッフが横についてサポートいたします。
- 体の揺れ具合、揺れの速さ・方向・大きさをコンピューターで自動解析します。
ビデオヘッドインパルス検査―半規管機能検査
<検査の概要>
我々は、目の前の目標物を、頭を左右に動かしても見続けることができます。これは、頭を動かした側と反対方向に、同じ角度と速さで眼が反射的に動くことで、目標物を見失うことがないようにする仕組みで、「前庭動眼反射」といいます。
前庭機能障害により、前庭動眼反射が障害されると、眼球は頭の動きと同じ方向に動いてしまい、目標物から視点がずれてしまいます。そこで、再び目標物を見るために、視線を急速に戻す眼球運動が観察されます。
ビデオヘッドインパルス検査は、頭部の急速な動きに伴って発生する眼球の動きを解析することで、前庭動眼反射を測定します。この検査により、半規管機能を評価し、末梢前庭障害の診断を行います。
<検査の実際>
- ビデオカメラの付いた検査用のゴーグルを装着します。頭を素早く左右に動かしたときに、ゴーグルがずれないように頭に固定します。
- 1m先の指標を見つめます。
- 左右に赤い点が点滅しますので、目で左右に追いかけてください。
- 右または左にランダムに約10°、医師が素早く頭を動かします。頭を左右に振られても、1m先の指標を見続けてください。首に力を入れないようにし、頭を動かした瞬間に目を閉じないようご注意ください。
- 左右に各15~20回分のデータが取れたら、終了です。
内視鏡用テレスコープを用いたインフルエンザ検査
<検査の概要>
これまで、インフルエンザ感染症の診断には、迅速検査キットによる抗原定性検査が主として用いられてきました。
nodoca(ノドカ)は、AIを搭載した新医療機器を用いた内視鏡用テレスコープ検査として、インフルエンザ感染症に保険適用となりました。
インフルエンザウイルスに感染すると、初期段階でのどに小さなブツブツ(インフルエンザろ胞)が現れます。この所見は肉眼での判別が難しく、nodocaがAIで判定します。
本検査は、抗原検査のような検体採取時の「痛み」がなく、患者さんの負担が小さいインフルエンザ検査です。
診断精度は約80%ですが、従来の抗原検査と比べても劣ることはありません。
発症から12時間以内の早期では、抗原検査よりも検出率が高いことが示されており、発症12時間以内の受診では、本検査を選択すべきと考えます。
保険点数は、従来のインフルエンザ抗原検査と同じ305点となっています。
なお、本検査を受けるにあたり、以下の4点にご留意ください。
1)6歳未満のお子様については、臨床試験での有用性が確立しておらず、6歳以上の方が検査の対象となります。
2)本検査は、発症後48時間以内に実施することとされております。
3)本検査では、抗原検査のようにインフルエンザA型・B型の型判定はできません。
4)一連の治療期間において、本検査と抗原検査を併用することはできません。
<検査の実際>
- 最高体温、発症日時、症状、解熱剤服用の有無、発熱・インフルエンザ患者との接触歴、インフルエンザ予防接種などについての問診に回答していただきます。
- 受診時の体温、脈拍を測定します。
- 口を大きく開けていただき、内視鏡用テレスコープで、のどを撮影します。18枚の画像を数秒で撮影します。
- タブレット端末に必要事項を入力し、のどの画像が鮮明に撮影できていますと、十数秒でAIによる判定結果が送信されてきます。